
ユーザー満足と権利ビジネスの狭間の商品開発
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SNSに投稿にしたモックアップ写真で起きたやりとりを整理して紹介します
先日、とある当社の企画商品のモックアップ(試作品)写真を市場調査や仕様のアイデア収集のためにSNSに投稿(Xにポスト)したところ、
それ許可とってるんですか?
と権利侵害の恐れがあることをにおわす忠告がリプライでありました。
(色んな意味でこれもSNSのいい面ですね。)
真偽や詳細はさておき、SNSで一次情報として商品のニーズや仕様以外の面でどうやら課題がありそうだということがわかりました。
そのモックアップはスクレーパー刃の老舗、ナルビーさんの三枚刃、二枚刃、一枚刃に代表されるスクレーパー刃を納めることを前提として企画した腰袋でした。
(実際のXのポストは下記を参照ください。)
物販をする上で直面する権利問題
商品がもつ権利には
著作権、商標権、意匠権、実用新案権、特許権
などがあります。
今回はこれらのうちのどれか、または複数なのかもしれません。
わかり易い例で言うとスマートフォンのiPhoneなどは著作権、商標権、意匠権、実用新案権、特許権あらゆる権利の塊ですよね。
『iPhone用スタンド』
『iPhone用ケーブル』
『iPhone用カバー』
『iPhone用アプリ』
これらアップルの純正品以外は、いわゆるサードパーティと言われるiPhoneに付随するサービスやアクセサリー、オプションパーツ等です。
本来は『iPhone用』をうたう以上、何らかの権利関係をクリアする必要が出る商品です。
今やアップル製品のアクセサリーの世界市場の規模は274億ドル(約2兆9千億円)とも言われています。
この中にはアップルの純正品もありますが、圧倒的にアップル以外のサードパーティと言われる数多のメーカー品が市場を占めています。
純正品以外のサードパーティーのメーカーはすべてアップルに認証を受けて、ロイヤリティーを払っているのか?または逆にアップルは規制しているのか?
これはほぼアップルは黙認しているのが実情のようです。
そもそもなぜ権利を固め、規制するのか?
一番は模倣品を防ぐことで売り上げ、収益を安定、向上させる意味合いがあります。
それとは別に、例えば純正品ではない、サードパーティの粗悪な充電ケーブルが出回ってiPhoneの故障や充電事故につながると、iPhoneそのものの信頼性に関わってしまうため、商品権利をもとに規制をして商品の信頼性を維持・担保していかなければならないという側面もあります。
しかし、iPhoneにおいて発売当時はサードパーティを規制したニュースはよく聞きましたが、現状ではほぼ黙認している状態です。
それはなぜか?
サードパーティ品があることで本家のiPhoneも売れる共存共栄の市場形成
iPhoneを買ったら、次に、または一緒に何を買うかというと、iPhoneカバーではないでしょうか?
もしiPhoneがサードパーティ品を規制しまくって、純正品しか市場で買えなかったらどうでしょう?
アップルストアでしかアクセサリーが買えなかったらどうでしょうか?
iPhoneの魅力が半減すると思いませんか?
アップルも多種多様なニーズに合わせたアクセサリーの市場調査や企画開発、製造、販売をすべて自社で行うよりもサードパーティのメーカーに一任した方が、iPhoneのユーザー満足度が高まりより市場が広がると判断し、サードパーティを規制する方向から、よほどの粗悪品以外は、規制しないからどんどん商品開発して良いものを市場に出して行っていいよという方針に転換したと言われています。
翻って今回の当社のケースはどうなるか?
今回のケースでの当社の立ち位置はiPhoneでいうところのサードパーティに当たります。
iPhoneがナルビーさん、サードパーティのアクセサリーメーカーが当社といった関係性です。
ナルビーさんは、iPhone発売当初のアップルのようにサードパーティ品であろうが規制をしてくるのか?
それともナルビー商品のユーザー満足度が高まるのであればと、サードパーティメーカーと共存共栄を図っていくのか?
もう一つ、アクセサリー品もサードパーティを頼らず自社開発していくという道もあります。
まあスマートホンの市場規模とは比較にならないぐらいの清掃業市場というコップの中の事象ですが(笑)
スクレーパー刃の腰袋の商品企画を一旦白紙にした理由
SNSの発信で得られた、ナルビーさんの三枚刃という商品に、または三枚刃の関連商品になんらかの権利を有していることはおそらく事実でしょう。
なにせ有力筋の情報ですから(笑)
事実に基づかなければ営業妨害になりかねませんからね。
今回の当社のSNSの発信で、おかげさまで多数のユーザーさんからのご意見がX上でいただくことが出来ました。
ナルビーさんの三枚刃のようなスクレーパー刃の収納については様々なニーズがあり、現状の既製品で満足するものはどうやら無さそうだという市場調査は出来ました。
(SNS様様ですw)
ただ、吹けば飛ぶような当社が人・モノ・金・時間をかけて、権利関係を調査したり、落としどころが現時点でわからない権利元と交渉をしてまで今回の商品を推し進めるかというと、
ちょっと一旦白紙にしてしばらく温めよう
X上で『商品化したら買います!』『こういう仕様にしたら嬉しい』『こういところに困っている』といった声をいただいた皆さんには申し訳ないのですが、一旦白紙という結論に現時点ではいたしました。
清掃業界の発展という目線で見た時には、スクレーパー刃(もう三枚刃って言うのにビビり始めてますw)のユーザー満足度が高まる方向で進むといいのですが、ビジネスという側面でそれが実現するかどうかはまた別の話しですね。
今後のこの商品企画に進展があるのか無いのか?(笑)
また進展がありましたらご報告したいと思います。
参考になれば幸いです。