昭和の常識をアップデートするリンを使ったプロ用洗剤

昭和の常識をアップデートするリンを使ったプロ用洗剤

冒頭結論から言うと、業務用洗剤の成分としてリンを使用することについて

「リン=悪」という昭和の常識

をまずはアップデートする必要があると感じています。

ご興味のある方はぜひ読み進めてください。

 

昭和の時代から止まったままのリンに対するイメージ

社会科の授業でも習った、1970年代から80年代にかけて、リンが原因とされる瀬戸内海や琵琶湖で発生した赤潮は社会的な大問題となりました。

当時、粉末洗剤の洗浄力を高めるため、大量の「リン酸塩」が配合され(重量の20%近くがリン酸塩だったことも)、これが生活排水としてそのまま流され、赤潮の最大の原因となりました。

以降、公害に対する社会運動等を経て、洗剤メーカーの努力により、家庭用洗剤は99%以上が無リン化されました。

これが「リン=悪」という固定化された常識となりました。

しかし、公害が問題になった当時と現在では、家庭用洗剤にリンが採用されなくなったことだけでなく、様々な環境・条件が変わっているのです。

 

下水処理能力の進化

公害が起きた当時の下水道普及率は約30%でした。

つまり約70%は河川にダダ洩れだったわけです。

また当時の下水処理場は「有機物(汚れ)」を落とすことが主目的で下水処理施設を通ったとしても当時の処理技術・設備能力では下水処理施設のリンの除去率は20~30%だったと言われています。

一方で現在では下水道普及率は約80%です。

家庭用排水が河川に直接流れ込むことを相当数低減されています。

また現在は下水道処理施設の「富栄養化の原因物質(窒素・リン)」を狙い撃ちして除去する高度処理技術が普及し、下水処理施設のリンの除去率は80~95%以上に向上しています。

 

法規制と総量削減

公害発生当時は排水規制が緩く、工場や家庭から「垂れ流し」「流し放題」に近い状態でした。

それらの経験から現在では、一般家庭でも下水道が整備されていない地域では浄化槽の設置が義務化されています。

また「水質汚濁防止法」に基づき、特に閉鎖性海域(瀬戸内海、伊勢湾、東京湾)では、工場から排出できるリンの「総量」が厳格に管理されています。

 

以上をまとめると下記の通りです。

 

プロが使用する業務用洗剤にリンを採用する是非

前述の通り「洗剤にリンが入っている=そのまま海へ流れる」という図式は、現代ではもはや成立しません。

「リン酸が含まれる洗剤なんて、環境に悪いんじゃないの?」

そう思っているとしたら、その知識は40年前の「昭和」で止まっているかもしれません。

それでもなお「だからといって洗剤にリンを使用するのは…」と感じる方は、家庭用洗剤とプロ用洗剤の使用方法や使用量の混同でミスリードが起きていると言えます。

現在、リンを最も多く排出している存在が何か?それをまず知るべきでしょう。

 

リンを最も多く排出する存在=人間

現代で少なくとも日本で最も多くリンを排出している存在は生物としての人間そのものです。

もっと言うと人間が排出するし尿=ウンチとオシッコに含まれるリンです。

日本人が1日に排出するリンの量は、公的な統計(環境省や下水道協会の指針)に基づくと、1人あたり1日約1.2g〜1.5gとされています。

そのうちの約70〜80%がし尿=ウンチとオシッコです。

残る20~30%が食べ残し、野菜のクズ、米のとぎ汁などの台所から出る生活雑排水です。

日本の人口を約1億2,000万人として計算すると、驚くべき数字になります。

1日の排出量: 1.2g× 1.2億人 = 144,000g(144トン)

1年間の排出量: 144トン×365日=52,560トン

つまり、日本人は生活しているだけで、年間5万トン以上のリンを排出していることになります。

他にも工場排水や家畜のし尿や畑にまく肥料等にもリンは含まれておりますが、それについては一旦横に置きます。

これだけの量のリンが排出されても環境問題が起きない、生態系を狂わせないだけの処理能力が現在の日本には既に備わっているのだということです。

おまけで以下のシミュレーションをしてみました。

 

もしプロの掃除屋1万人がリン酸入りの業務用洗剤を使ったら?

仮に20%リン酸が含まれる業務用洗剤を清掃の職人がお風呂掃除に一回当たり300g程度使います。多めに見て一日2件清掃するとして、月間で50部屋、50回洗剤を使うとして洗剤15㎏です。仮に10000人の掃除屋がその洗剤を採用したとした場合の影響を話題のAIを使ってシミュレーションしてみました。

すると…

月間の洗剤総使用量: 15kg × 10,000人 = 150,000kg(150トン)

リン酸(H_3PO_4)含有量(20%): 150トン × 0.20 = 30トン

純粋な「リン(P)」換算: 30トン × 0.316(リン原子の割合)≈ 約9.48トン/月

年間のリン排出量: 9.48トン × 12ヶ月 ≈ 約114トン/年

となりました。

これを日本全体の排出量と比較したインパクトで見ると…

日本人の年間リン排出量(生活排水由来): 約52,560トン

日本の肥料用リン酸の年間消費量: 約200,000トン 〜 300,000トン(※農業用)

業務用酸性洗剤のシェア: 約0.21%(生活排水総量に対して)

結論

1万人のプロが毎日現場でリン酸20%を主成分とした業務用洗剤を使い続けても、日本人が毎日トイレやキッチンから流すリンの総量のわずか0.2%程度に過ぎず、その洗剤が1万人のシェアを獲得したとしても、現代の処理技術と排出の分散を考慮すれば、環境への悪影響を過度に恐れる必要はありません

 

清掃のプロとしてのリンを使用した業務用洗剤との向き合い方

マクドナルドやスターバックスが環境に配慮してプラスチックストローから紙ストローに変えましたが、結局見直しの方向になりつつあります。それは「紙なら本当に環境に優しいのか?」という疑問(製造時のエネルギー、森林資源、リサイクル性など)を再評価した結果でもあります。

洗剤も同じです。「リン=悪」という刷り込みで、本来高性能な洗浄力を引き出すことが出来る洗剤を使用せず、現場で苦労して水や時間を浪費し素材を傷めたりするのは、本末転倒ではないでしょうか。

確かにリンは環境に関わる成分ですが、『成分の名前』を怖がるのではなく、高度な下水インフラを信頼し、リンの持つ高い洗浄力をフル活用して

『最短の時間で、最小の洗剤・水量で、素材を傷めず、最高の美観を作る』

そのことに自信と誇りを持って日々の清掃の仕事に臨んでいいんだということを、ここでアップデート出来ればと思います。

そんなプロの掃除屋さんにおススメの洗剤が業務用酸性洗剤DⅢとRSPです。

2026年4月発売ですので、ぜひ一度お試しください。

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